肺気腫

○急性増悪とは
肺気腫の急性増悪（きゅうせいぞうあく）とは、呼吸困難、咳、痰などの症状が急激に悪化することです。この場合、安定期の治療では立ち行かなくなり、新たな治療を必要とします。
急性増悪しても、多くは治療によって症状自体は改善します。そのため肺気腫は、増悪と寛解、すなわち悪くなったりよくなったりを繰り返しながら進行する過程をたどるのが一般的です。
 
○急性増悪の原因と予防
ウイルスや細菌などが体に入って呼吸器系の感染症が起こることが主な原因です。また、急激に冷えることも引き金となります。
そのため、風邪の予防やインフルエンザの予防接種、保温に努めて寒冷刺激を避けることで予防します。
　また、患者さん自身が異常の早期発見をすることが大切です。異常を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
 
○急性増悪期の治療
　低酸素状態が増強しているときは、酸素投与を行います。
　薬物療法としては、速効性の気管支拡張薬（吸入薬）を使用します。また、感染症を合併している場合は、原因となる菌を排除するために抗菌薬を使用します。重症例や呼吸困難が強い例では、点滴のステロイド薬を使用することがあります。
　さらに、酸素投与や薬物療法でも改善が見られない場合は、人工呼吸器による補助療法を行うことがあります。人工呼吸器は、気管挿管しないで患者さん自身の呼吸を助けるものと、気管挿管して完全に機械で呼吸を管理するものとがあります。
　また、急性増悪では、心不全や気胸、胸水など他の病気が背景にある可能性があるため、これらに対する検査や治療を行います。