肺気腫

○タバコ…タバコは肺気腫最大の危険因子です。喫煙者のうちの15％は、喫煙によって肺活量が低下して肺気腫になります。そして、COPD（慢性閉塞性肺疾患）患者さんの９割近くは喫煙者です。タバコを吸っていた本数、年数、現在禁煙できたかどうかで、その後の病気の進行が左右されます。そのため、発症してからでもすぐに禁煙することが治療の基本となります。
 
○老化…加齢は肺気腫の大きな原因です。肺気腫のほとんどは60歳以上で発症します。加齢とともに呼吸筋の力が弱くなり、肺活量は低下します。
 
○化学物質…タバコのほかに、有害な化学物質を長期間吸う環境にあった場合に起こります。大気汚染の地域の住民や粉塵や刺激性のガスを吸う機会のある鉱山や重工業の就労者などにみられます。これらは、慢性気管支炎の原因ともなります。
 
○α1アンチトリプシン欠損症…頻度は欧米でも1％以下と非常にまれですが、α1アンチトリプシンという酵素の先天的な欠損によるものがあります。α1アンチトリプシンは、肺の主要な抗たん白分解酵素です。α1アンチトリプシンが欠損すると、たん白分解酵素によって組織が破壊され、肺気腫や自然気胸の原因となってしまいます。
 
○生まれつきの病気…非常にまれですが、赤ちゃんが生まれつきの心臓病や呼吸器疾患に伴って肺気腫の状態になることがあります。これは、心臓病や呼吸器疾患によって肺に負担がかかり、正常な呼吸ができないために起こります。