肺気腫

○肺気腫に完治はありません
肺気腫は慢性的な肺の疾患であり、進行性の病気です。一生付き合っていかなければいけない病気であり、慢性心不全や慢性腎不全と同様に、完治するということはありません。
ただし例外として、健康な人の肺を移植手術で移植した場合は、病変のある肺が健康な肺に変わるため、完治となることもあるでしょう。しかし、肺移植は、日本では一般的な治療法ではありません。
 
○肺気腫治療の目指すところ
　完治しないのであれば、肺気腫は何を目標に治療するのでしょうか。
　それは、症状の安定です。症状が安定するために、重症度に応じて適切な治療を施し、急性増悪を予防し、増悪したときは寛解を目指し、そして進行を遅らせるような治療を行っていきます。
　そして、症状の安定を図るとともに大切なのが、患者さん自身も、完治を目標とするのではなく、「病気とうまく付き合っていく」という目標に切り替えることです。
例えば、肺気腫の重症例では多くの患者さんが在宅酸素療法（HOT）を使用しますが、在宅酸素療法を行いながらも穏やかな日常生活を送ることができていれば、それはある意味「健康」で「体調が良い」ということになるのではないでしょうか。
　確かに、肺気腫は一生付き合っていかない病気であり、治療をして症状は安定しても根本的に「治る」ということがないため、息苦しさも相まって不安や苦しみが生じることもあるでしょう。しかし、病気があるのも生活のうちと考えて、逆に病気だけに支配されることのない意識への転換が大切だといえます。