肺気腫

○運動による負担
運動は、普段よりも酸素を必要とするので、肺気腫の人が運動すると余計に苦しくなってしまいます。運動とは、スポーツだけを指すのではありません。肺気腫の患者さんにとっては、歩行だけでも十分な運動です。お風呂に入ることもかなりの酸素を必要としますし、洗面や着替えなどのちょっとした動作でも酸素は必要になるのです。
　そのため、運動により低酸素状態に陥ることを考えると、肺気腫の患者さんが積極的に運動するのは難しく、活動が低下してしまう患者さんが多いのです。
 
○行うべき運動
一方で、肺気腫の患者さんは筋力が低下し、徐々にやせてきてしまうという特徴もあります。足の筋力は、高齢者では1週間寝たきりになってしまうと回復するまでに数か月かかります。また、呼吸筋も呼吸を助けるためになくてはならない筋肉です。そのため、筋力を維持するための最低限の活動は大切です。
安定期には、持久力や全身の筋力を維持するような運動を行います。毎日（もしくは週3日以上）歩いて、足の筋力を維持します。慣れてきたら少しずつ距離を伸ばすようにします。苦しくて運動に対して恐怖心を持つほどは頑張りすぎないことが大切です。人によって病状が異なりますので、酸素不足に注意しながら、無理のない範囲で行うようにしましょう。また、急性増悪期には安静にし、治療を最優先としましょう。
そして、呼吸筋の筋力を維持するためには、呼吸筋を使った効果的な呼吸をすることです。これは、理学療法士により、呼吸リハビリテーションという形で治療として行う場合もあります。呼吸筋を有効に使って効果的な呼吸をするためには、上体を起こしてお腹からゆっくり少しずつ息を吐き出す口すぼめ呼吸を行うようにします。